デザインとアートの違いについて
デザインとアートは似て非なるもの
デザインとアートというのは一見よく似ていますが、本質的には全く違うものだと僕は考えています。今回のコラムでは、デザイナーの立場から両者の違いを考えてみたいと思います。
「カッコ良ければOK」は、デザインではない
デザインとアートの違いは様々ですが、前提として忘れてはならないのが「クライアントから依頼されて作るのがデザイン。作ったモノを買ってもらうのがアート」ということ。
デザインにおいては、クライアントが必要としているモノをクライアントに代わって作るわけですから、最終的な着地点は常に「クライアントのニーズに応えること」でなければなりませんし、そのためには「ユーザー(デザインを見る人、使う人)の立場に立ったもの」である必要もあります。
「カッコよさ」や「美しさ」だけを追求するのはアーティストの姿勢であり、デザイナーの姿勢ではありません。
たとえば、「Webサイトのレイアウトの美しさだけを追求した結果、文字が小さすぎて読みにくくなってしまった」というのは典型的なダメな例ですね。もっと分かりやすいのは、機械のUIデザインなどの場合。どれだけマシンの見た目が美しく、アート作品として完成していたとしても、ユーザーが「どのボタンを押せばいいのかわからない」と困ってしまうようなデザインでは、全く価値はないわけです。
クライアントとユーザーの目線を大切に
僕自身、デザインをするときには「自分はこうしたい」という気持ちはあまり出しません。
「クライアントが何を求めているのか」「どんなユーザーが、どんな風に自分のデザインしたモノを使うのか」を常にイメージするように気を付けています。
ときどき、クライアントからいただいた修正に対して「クレームが入った」と気を悪くするデザイナーがいますが、これは間違いだと思います。制作物を「自分の作品」として固執するのは、アート志向のデザイナーにありがちな誤解。その修正要望によって、制作物がクライアントやユーザーにとってより良いモノになるなら、真摯に受け止めるのがデザイナーの役割ではないでしょうか。
執筆者情報
J-Grip Marketing編集部
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